みなさん、こんにちは!
「監督が怒ってはいけない大会 ~サッカー in 八王子~」の吉武です。
みなさまのチームでは、年間何試合の公式戦が組まれているでしょうか?
また、年間何試合ほどが適切だと思いますか?
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スポーツを通じた子どもの成長を
考えるためのニュースレター #16
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西ヨーロッパやアメリカの場合、小学生低学年でも、年間30~50試合が標準的なようです。
数ヶ月に渡る地域のリーグ戦が中心で、それに加え週末に行われるカップ戦にときどき出場します。
逆に、練習試合はあまりありません。
また、夏やクリスマスのオフシーズンが長く、マルチスポーツのシーズン制により別競技に参加する時期もあるので、実働期間は6~9ヶ月ほど。
その間にこれだけの公式戦が行われます。
つまり、シーズン中は、毎週末試合があるということですね。
人数が多いチームは、複数のチームで出場するので、全員が試合に出られます。
出場時間もおおよそ同じです。
試合に出られない選手がいるという「補欠問題」はありません。

スポーツ先進国では、特に小学生年代では、試合に出ることは「子どもたちの権利」と考えられている。だから、全員が同じ時間試合に出場する。もしコーチがある選手を試合に出さなかったら、「スポーツを楽しみ、成長する機会を奪った」ことになる。日本でも、小学校の先生が、成績が悪いことを理由に生徒を教室から追い出したら批判を受けるだろう。スポーツもそれと同じように捉えられている。
日本では、地域によりばらつきがありますが、練習試合が非常に多く、特に低学年向けの公式戦は少ないように思います。
なぜ、スポーツ先進国では、これほど多くの試合が行われるのでしょうか?
答えは単純で、試合が楽しいから。
そもそも、スポーツをする目的は、試合を楽しむことですよね。
だから、楽しい試合はたくさんあった方が良いというわけです。
そして、教育的な観点からしても、試合の方が成長の度合いが大きいとも言われます。
練習試合よりも公式戦の方が、勝ちたいという気持ちが強いですし、勝った時の喜びも負けた時の悔しさもより大きいでしょう。
必然的に、公式戦での学びはより大きく、次の試合に向けて努力をするようになります。
サッカースキルだけでなく、人間的にも成長できるのです。

試合の方が本気度が高い分、楽しさも人間的成長の度合いも、より大きいのではないだろうか
また、トーナメントではなく、リーグ戦が中心なのもポイントです。
これはサッカーに限らず、野球やバスケ、バレーなど他のスポーツも同様です。
日本はトーナメント形式が中心ですが、サッカーを中心にリーグ戦を増やそうという動きがあります。
それはなぜでしょうか?
トーナメントは負けるとそこで終わり。
勝てるメンバーで試合に臨むこととなり、控えの選手の出番がない「補欠問題」につながります。
そして、プレーもチャレンジせずに、ミスをなくすことを優先しがち。
どうしても、勝利至上主義的な要素が強くなってしまいます。
その点、リーグ戦であれば、負けても何が悪かったかを考え、次の試合に活かすことが可能です。
トライ&エラーが繰り返せるので、さまざまなチャレンジができ、その結果、スキルや精神面の成長幅も大きくなります。

個人的には、日本のスポーツ界の練習試合の多さも気になっています。
私の子どものチームでは、公式戦が年間10試合もないのに対し、練習試合が20~30試合はあったのではないでしょうか。
これだけ練習試合を組むのであれば、リーグ戦ができるのにと思ったりもします。
また、保護者の立場からしても、せっかく見に行った公式戦で我が子の出番がなく、悲しい気持ちになったことはありませんか?
逆に、長々と続く練習試合を見るのが退屈だったりしませんか?
社会や教育が変わりつつある今、スポーツにおいても勝利至上主義からの脱却が求められています。
子どもたちの成長にとっても、何が良いのかを考えると、こうした公式戦や大会のあり方も見直す必要があるのかもしれません。